平塚市民病院循環器科は1972年に開設され、発足当初より循環器内科医と心臓血管外科医がひとつのチームを作り、各々の症例に対して最も適切な治療法を選択して治療にあたっております。
心臓血管外科では開設より現在まで約5,000例の手術を手がけ、心臓・胸部大血管手術(人工心肺使用手術)も2,000例を越えています。当院は県央・湘南エリアで、年間100例以上の心臓・胸部大血管手術を連続10年以上行っている唯一の施設です。
狭心症に対する心拍動下のバイパス手術、弁膜症に対する弁形成術、心房細動に対するメイズ手術、大動脈瘤に対する人工血管置換手術を始め、重症虚血性心筋症に対する左室形成術など心臓外科領域の全ての治療を良好な成績で行っています。また、2010年より、体を切らずに治す治療ー下肢や胸腹部大動脈のステント治療を導入し、積極的に行っています。高齢者の方で、今まで手術を断念せざるを得なかった胸部大動脈瘤に対して、より侵襲の少ないハイブリッド治療も選択可能となりました。
循環器内科では、狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患に対しては糖尿病、高血圧、高脂血症、喫煙などの冠危険因子のコントロール、アスピリンとスタチンによる薬物治療に加え、冠動脈造影を行い適応があればカテーテル治療を積極的に行っております。ステント種類については冠動脈病変形態や併存疾患、すなわち出血や遅発性ステント内血栓症の危険性を考慮し、薬剤溶出ステントと一般型ステントを使い分けています。
不整脈疾患では、心房細動に対しては抗凝固療法導入を行っております。また徐脈性不整脈に対するペースメーカー治療、頻脈性不整脈に対する植込み型除細動器(ICD)を行います。
心不全では、急性心不全に対しては入院加療、薬物治療を原則とし、難治例に対しては人工呼吸器、持続的血液濾過(CHDF)を使用しております。慢性心不全に対しては食事療法、服薬指導、利尿剤投与に加えて、神経体液性因子の調整すなわちレニン-アンギオテンシン-アルドステロン系抑制薬とβ遮断薬の導入を行います。重症例に対しては心臓再同期療法(CRT)や在宅酸素療法(HOT)の適応を考えます。
現在入院ベッド数40床で年間入院患者数約900名、1日外来患者数約80名の診療を休日・時間外の対応を含めて毎日24時間体制で行っています。
日本循環器学会・循環器専門医研修施設
日本心血管インターベンション学会研修関連施設
心臓血管外科専門医認定機構・基幹施設
日本胸部外科学会・指定施設
腹部大動脈瘤ステントグラフト実施施設
胸部大動脈瘤ステントグラフト実施施設
昨年(平成23年1月1日~12月31日)1年間に入院治療した症例に関して紹介します。
【総数】
749例(うち、紹介症例304例、救急車搬送例171例)
【疾患内容】
【総数】
165例 人工心肺症例 102例
【内訳 I 】
【内訳 II 】
成績:病院死亡例 0例
腹部大動脈瘤 8例、末梢血管(内シャントを含む) 19例
Pacemaker 21例、ICD+CRTD 2例
近年の不整脈治療の進歩は目覚ましく、薬物治療に加えて、ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、カテーテルアブレーション(心筋電気焼灼術)が不整脈治療の中心になってきました。また、心臓再同期療法(CRT)も慢性心不全に対する有効な治療法として確立しています。当院では、これらの先進の治療を取り入れて積極的な治療に取り組んでいます。
不整脈の患者においては、弁膜症や心機能低下などの心疾患をもっているかどうかが治療のポイントになります。心疾患が不整脈の原因になっている場合は、それに対する治療を優先して行います。飲酒、喫煙、不眠や過労などのライフスタイルが誘因になることもあります。これらを改善しても出現する不整脈に対しては、不整脈の種類、症状の強さ・頻度・持続時間に合わせて治療を行います。
急性期
不整脈の薬剤には心臓の病気によって使えないものがあります。心疾患がはっきりしていない場合は、比較的安全に使用できる薬物から開始していきます。緊急時は救急対応も行っています。
慢性期
心疾患(心臓の収縮力、心筋梗塞、弁膜症など)、年齢などを考慮して薬物を開始します。
当院外来には、ペースメーカー移植後の患者は約190名通院しており、平成22年は36名(うち新規植込み 26名)ペースメーカーの手術を施行しています。当院では、心臓に電極カテーテルを入れて不整脈の評価をおこなう電気生理学的検査(EPS)を施行した上で、ペースメーカーの適応を評価しています。最新のペースメーカーは、不必要な心室ペーシングを入れない機能や透析中の低血圧をペーシングで補う機能などメーカーごとにさまざまな特色があります。洞不全症候群、房室ブロック、上室性不整脈の有無、透析患者などの基礎疾患に合わせて、ひとりひとり機種を選んでいます。また、ペースメーカー移植後も外来で定期的にフォローさせていただき、心臓の状態に合わせて適切な設定に変更していきます。
薬剤が効きにくい方、生涯にわたる薬剤内服に抵抗のある方には、不整脈の根治可能なカテーテルアブレーションを施行しています。高周波エネルギーで心臓の中に入れたカテーテル先端を50-60℃で熱して、不整脈の回路や発生部位を焼灼して根治します。適応は発作性上室性頻拍(WPW症候群、房室結節リエントリー性頻拍など)、心房粗動、心房細動、心室頻拍などの疾患です。当院で治療できない不整脈に関しては、関連大学である慶應義塾大学に紹介しています。
ICDとは致死的な心室性不整脈(心室頻拍、心室細動)の発生を感知して、抗頻拍ペーシングや電気ショック(カルディオバージョン、除細動)を行う植込み型の装置で、心臓突然死を予防する器械です。
重症の慢性心不全では心室内伝導遅延により、心臓の収縮タイミングのずれを生じることがあります。このような場合、ペーシングリードを右室と左室に2本入れることで収縮タイミングのずれを補正し、心機能を改善する治療が心臓再同期療法(CRT)です。CRT治療を施行した場合、約70%の症例で効果があるといわれていますが、CRT治療の奏功率を上げるために、心エコー評価などが必要となります。
| 松原 隆 部長 S59年卒 |
(資格) 日本内科学会認定医 日本循環器学会専門医 日本心血管インターベンション治療学会指導医 植込型除細動器/ペーシングによる心不全治療 研修終了 身体障害者福祉法指定医 慶應義塾大学医学部客員准教授 医学博士 (専門分野) 循環器内科全般 冠動脈、弁膜症、不整脈 |
|---|---|
| 高木 俊介 部長 H2年卒 |
(資格)
日本内科学会認定内科医 日本循環器学会専門医 日本心血管インターベンション治療学会専門医 医学博士 (専門分野) 循環器内科全般、虚血性心疾患 |
| 冨樫 郁子 医長 H13年卒 |
(資格) 日本内科学会認定内科医 日本循環器学会専門医 (専門分野) 循環器内科、不整脈 |
| 小出 希実 医長 H13年卒 |
(資格) 日本内科学会認定内科医 日本内科学会総合内科専門医 日本循環器学会専門医 (専門分野) 循環器内科、虚血性心疾患 |
| 松嵜 志穂里 医長 H15年卒 |
(資格) 日本内科学会認定内科医 日本救急医学会専門医 (専門分野) 循環器内科、救急集中治療 |
| 鈴木 暁 部長 S52年卒 |
(資格) 日本心臓血管外科専門医 日本胸部外科学会指導医・認定医 日本外科学会専門医 身体障害者福祉法指定医 慶應義塾大学医学部非常勤講師 医学博士 (専門分野) 心臓血管外科 冠動脈、左室形成術、弁膜症、大動脈 |
|---|---|
| 井上 仁人 主任医長 H2年卒 |
(資格) 心臓血管外科専門医 日本胸部外科学会指導医・認定医 日本外科学会指導医・専門医 アメリカ胸部外科学会会員 ヨーロッパ胸部外科学会会員 医学博士 (専門分野) 心臓血管外科 冠動脈、左室形成術、弁膜症、大動脈、不整脈手術 |
| 河尻 拓之 医師 H17年卒 |
(専門分野) 心臓血管外科全般 |