経皮的冠動脈形成術 TREATMENT01_02

患者にとってより低リスク、低侵襲を目指して

狭心症や心筋梗塞に対して、循環器内科で行われる代表的な治療が経皮的冠動脈形成術です。カテーテルという細い管を手首や足の血管から心臓まで進め、メスを使わないで手術を行います。当院のカテーテル治療の特徴は、適応を遵守していることです。 本邦と米国のカテーテル治療を比較しましょう。

緊急カテーテルは心筋梗塞など、命の危険性がある時に緊急で行う治療で、待機的カテーテルは安定狭心症など、緊急性がなく一般に外来で検査を重ねて予定する治療です。本邦では待機的治療が7割と、外来検査を充実、早期介入し、待機的治療に尽力してまいりました。一方で米国は心臓疾患が日本と比して多く、致命的な心筋梗塞を発症してしまう患者が非常に多いことから、待機的治療は僅か3割に留まっております。逆に米国からしたら、「本邦は待機的カテーテル手術が多すぎる、本当に必要な手術以上にカテーテル治療が患者に提供されているのでは?」と解釈されてしまいます。

では当院のデータですが

本邦で緊急カテーテル治療が5割を占めている総合病院は非常に珍しいです。
これは当院のカテーテル治療の特徴として2つ挙げられます。

  1. 緊急治療が24時間いつでもできるように体制を整えている。
  2. 待機的治療に関しては治療適応を遵守し、患者と相談の上、カテーテル治療は行わない薬物治療にも力を注いでいる。

薬物治療の進歩により、待機的治療の対象となる安定狭心症では、カテーテル治療と薬剤治療が同等の効果があることが分かってきております。

上の図では、安定狭心症に対して薬剤治療とカテーテル治療を比較した場合、心臓が原因の死亡においては薬剤治療はカテーテル治療に劣らないことが示されております。すなわち、緊急を伴わない患者においては、お薬かカテーテル治療かどちらを選択するかは患者と医師の間で相談する時間が設けられているということを示しています。薬剤治療の効果が不充分な場合、症状緩和のために遅れてカテーテル治療を行っても命への影響は少ないということです。ですので、当院ではカテーテル治療を行うか薬剤治療を行うか、患者のニーズに合った形を外来で相談しながら進めさせていただいております。

狭心症に対するカテーテル治療

左前下行枝近位部が動脈硬化により狭くなっており、血液が十分流れない状態になっています。そのため体を動かすと胸が圧迫される狭心症発作を生じてしまいます。

ガイドワイヤーという細い針金を通過させ、ステントと呼ばれる金網が載せられた風船を拡張させ、ステントを留置して閉塞を解除します。

ステント植え込み後、冠動脈の末端まで血流が回復しています。

経皮的冠動脈形成術

右冠動脈近位部が、血液の塊により閉塞しています。その先の心臓の筋肉が血液を供給されなくなるため、死滅してしまいます。一刻も早く血流を再開させる必要があります。

ガイドワイヤーという細い針金を通過させ、ステントと呼ばれる金網が載せられた風船を拡張させ、ステントを留置して狭窄を解除します。

ステント植え込み後、冠動脈の末端まで血流が回復しています。